おいしく食べる方法


炊飯理論

●はじめに

理論なんて書いてしまったけれど、私は科学者ではありません。
ちょっと書きすぎでした。ごめんなさい。
「おいしく食べるために何をしたらいいのか」を書きます。

     ご飯とは不思議な食べ物です。
     調理らしい調理もなく、味付けらしい味付けもなく、
     「水と一緒に火にかける」。 たったそれだけ。
     だからこそ、毎日食べても飽きないのかもしれません。
     しかし、簡単のものほど難しい、ということもありまして、
     炊き方によって味に差が出るのも、また事実です。

 いくつかに分けて考えます。

1.計量
2.研ぐ
3.水に浸ける
4.炊く・炊飯器

●計量

お米をキチンと計る。

お米は、炊飯器に付属の計量カップ(180ml)ですりきりで計ります。
その際、カップの底をトントンとするのはいけないそうです。そしてそのカップで最後の水の量を測ります。米の量に対して水の量は1〜1.2くらいで調節します。
キチンとお米を計ることが、おいしいごはんを炊くための第1ポイントです。

    

●研ぐ


コメを研ぐのは表面に付着しているヌカの粉や胚芽などを取り除くのが
  目的です。よく研がないと、においや変色の原因になります。
  お米は「洗う」よりも「研ぐ」ほうがよいといわれています。
  刃物を研ぐ、のと同じです。洗濯するような要領(たっぷりの水で
  じゃぶじゃぶ)では、あまりよくありません。
  砥石を使って包丁を研ぐ、そんなイメージでやってみてください。
  水を少なくし、適度に力を入れて、リズミカルに・・・です。

 「洗う」でなくて「研ぐ」
理由は2つあります。
  理由1.お米は乾燥された状態で保存されています。
    ですから水に出会うと、とぎ水であれ何であれ、すぐさま吸収します。
    この時の吸収する水が問題で、やはり「米のとぎ汁」は
    吸収させないほうがよいのです。
    米洗いの時に、たっぷりの水の中に水没するようだと、お米は喜んで
    とぎ汁を吸収します。
  理由2.米と米が直接当たるほうがヌカを早く落とすことが出来ます。

研ぎ水を吸収させてはいけない

スピードが大事です。
  研ぎはじめてから澄んだ水に変えるまで、約1分。
  それ以上経過すると、コメがとぎ汁を吸収するのを防げません。
  手早くやってください。
  とくに米は最初に入れた水を急速に吸収します。
  だから最初の水でゴシゴシ研いでいると、とぎ汁を吸収してしまいます。
  そこで、最初の水はゴミを洗い流す程度に、サッと米と混ぜる程度にして、
  素早く捨ててしまいましょう。

難しいのは、力の入れ具合です。
適当に力を入れませんと、研ぐのに効率が悪く、時間がかかってしまいます。
  力を入れすぎるとコメの表面を傷つけ、割ってしまいます。
  割れたお米は(「砕米」といいます)炊きあがりに
  ドロドロの糊状になりますので、食感を損ねます。
  ベタベタした感じ、とでも言いましょうか。
  ツヤがあってプリッとした感じが、なくなってしまうのです。

ザルを使う

1つは、コメと研ぎ汁の分離を早めること。
  ボウルのなかにコメを入れた状態で水を換えるのでは
  濁った水が澄んでくるまでには3回4回と水の交換が必要です。
  ざるを使えば、簡単ですよね。
2つ目は、割れたお米は流してしまおうということです。
3つ目の理由は、計量のため。計量カップで水を測ったときに
  誤差が少なくなるということです。

    


●水に浸ける

研いだお米は必ず水につけてから、炊きます。
  夏なら約1時間、冬のこの時期であれば2時間以上は水に浸けてください。
  さきほど、お米はすぐに水を吸収すると書きましたが、
  芯までしっかり水を吸わせるには、結構時間がかかるものです。
  一定以上、水を吸収しますとそれ以上は吸いませんので、
  一晩浸けておけば間違いありません。
  この時、水は冷水を使ってください。ぬるま湯も厳禁です。ただし、急ぐときにかぎり40〜50℃のぬるま湯に15〜20分くらい浸してから炊くのがよいでしょう 。
  真夏などは、常温で一晩浸けておくと朝には水が発酵していますので、
  気を付けてください。プロは夏には冷蔵庫のなかでコメに吸水させるそうです。

  あめ色で透き通った乾燥状態のコメ粒は、充分に吸水すると
  不透明・乳白色に変わり、ふっくらとしてきます。


大切な水加減をキッチリと

 ごはんのおいしさを左右する水加減。
 お米を計った同じカップでキッチリ水加減をしましょう。
 普通の白米の場合、洗う前のお米の容量の20%増し、
 新米は10%増しを標準とします。そして好みによって
 多少の調整をします。

     

●炊く・炊飯器

最近では、マイコン型自動炊飯器などが発達し、おいしいごはんが炊ける時代になりましたが、上手に洗米することや正しい水加減、蒸らしなど、おいしいごはんを炊くためのポイントは、しっかり身につけたいものです。

炊飯器

米を炊くのは、やわらかく消化吸収されやすい状態(アルファ化)にすることです。炊飯器を研究している人によれば、「米をアルファ化するには釜を98度に熱して20分継続する」のだそうです。いやあ、科学ですねえ。
昭和63年頃からでしょうか。ヒーターがIH化して加熱量が高まりました。この頃から炊飯器の技術は革新急となりました。今ではマイコン制御の炊飯器もめずらしくありません。

ところで、IHって何・・・?

そして大事なのは火力です。
炊飯をはじめると水はコメに浸透していきながら、温かくなった水は上昇し対流を始めます。やがて加熱が進むとコメのデンプンが溶け始めてノリ状となり、徐々に粘度を増して固まってきます。
火力が弱いとコメが充分に対流せず糊化も進まないので、炊きムラができます。大量に炊こうとする場合も同様です。自重で対流しにくい下のコメは、うまく炊けなかったりするのですね。一方、1〜2合の少量炊飯では早く沸騰が進んで吸水が間に合わず、おいしいご飯にならないことが多いようです。

現代の炊飯器は米のアルファ化を追求し、炊き上がったご飯の保温効果を高めておいしさを長持ちさせます。火力調整によって硬さ、炊飯時間の調節も可能なので、計量と水量を間違わなければ誰でも簡単にご飯を炊くことができます。

あわてず、さわがず、じっくり蒸らす。

蒸らしは、自動炊飯器でもごはんをおいしく炊くポイントのひとつです。

最近はほとんどの家庭が自動炊飯器ですから火加減に注意する必要はありませんが、保温機能のない電気炊飯器の場合には、スイッチが切れてから3〜4分後にもう一度スイッチを入れて釜の中の温度を上げ、ごはんの余分な水分を飛ばします。より一層香ばしく、ふっくらとしたごはんに炊き上がります。

蒸らし機能のない機能のない炊飯器の場合は、スイッチが切れた後、そのまま10〜15分程おいてください。これは、最終的にごはん粒の水分が均一になるようにするためで、もちろん途中でフタを開けることは禁物です。この蒸らしが充分でないと、ごはん全体が水っぽくなってしまいます。

しゃもじでほぐして、最後の仕上げ。

蒸らしが終わったら、できるだけ早くごはんをほぐします。
炊きあがったままにしておくと、蒸れ固まっておいしくなくなってしまいます。釜の底の型からごはん粒をつぶさないように、大きく掘りおこすようにふんわり混ぜます。
余分な水蒸気が逃げて、ふっくらとしたおいしいごはんになります。

     

●最後のおまけ・むかし話

余談ですが・・・。

おいしいご飯の炊き方は

はじめチョロチョロ、中パッパ。ジュージュー噴いたら火を引いて、赤子が泣いてもフタ取るな

と言い伝えられました。

はじめは弱火でコメに充分水を吸わせること。
コメの中心まで水が吸収されたら一気に過熱して糊化。
必ず蒸らしは行うこと。を言っています。

昔は電気炊飯器はなかったから、主婦はかまどにまきをくべて、勘で火加減を見ながら炊きました。この炊き方は「炊き蒸らし法」とも言われ、火加減と蒸らしがたいへん重要になります。例えば、炎は釜の下にまんべんなく当たるのが最良とされています。ワラやまきの炎は大きく立ち上がり、かまどとの相乗効果でムラなく釜を加熱することが出来ます。炊飯には理想的な火種だったのですね。


     

ご飯をおいしく保存する

★残りごはんは冷凍保存で炊きたての味に炊いたごはんが残ったら、保温し続けずに取り出して、温かいうちに茶碗1杯分単位でラップでキッチリ包んで冷凍保存を。必要なときに、レンジで解凍・加熱することで、炊きたてと変わらないおいしいごはんがいつでも味わえます。

★電子ジャーなどで保温する場合は、10時間程度に。電子ジャーなどで長時間ごはんを保温しておくと、ごはんが変質して味が落ちてしまいます。保温機能に頼り過ぎないようにしましょう。

買うときから

★購入の際は、適量を心がけて… お米は、精米されてから、夏場は約1カ月、春秋冬は約2カ月が保存期間の目安です。ご家族の消費量に合わせ、定期的に適量を購入するようにしましょう。

★お米の保存は、適した場所で。上手にお米を保存することも、おいしいごはんの秘訣です。保存場所は、家庭内の比較的涼しい場所を選び、高温・湿気、直射日光を避けることがポイントです。米びつなどの容器を使っている場合は、定期的に、空にして内側をきれいにきれいに拭いて乾燥させましょう。夏の暑い時期には、厚手のビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存するのも、ひとつの方法です。

 


→次へ

ご意見・ご感想、お待ちしております。

E-Mail post@akiyama-farm.com




HOME

Copyright (C)1997-2005 Akiyama-farm. All rights reserved.

このホームページ上に掲載されているすべての画像・文書などの無断転載を禁じます。