「AI世代」

 将棋・藤井四段の活躍、素晴らしいですね。
 プロにデビューして数ヶ月、一度も負けずに勝ち星を重ね、ついに連勝新記録となりました。何よりも驚きなのはまだ中学3年生だということです。末恐ろしいです。
 前後して人工知能についてのテレビ番組を見ました。「人類最強対コンピュータ最強」。将棋対決は人間の完敗。夢の企画はわずか5年で終わりとなりました。最新の人工知能には将棋の名人でも、もはや歯が立ちません。何しろプログラムを組んだ人ですら、AI(人工知能)が何を考えているのかわからないと言うのです。
 コンピュータはもう電化製品というジャンルを超越してしまい、新しい知性というべき存在になってしまいました。新鋭の藤井四段も、将棋の研究ではコンピュータを相手に対局を重ねたそうです。師匠に稽古をつけてもらう、一局教えてもらう、そんな師弟関係は今はないということですね。コンピュータの指す手が、人間よりも優れている以上、コンピュータから学ぶ・・・それが正しいやり方で、藤井四段の快進撃につながりました。
まさにAI世代ですね。
 私は古い世代ですので、コンピュータの急激な発達に驚くばかりで、ついて行くことすらままなりません。ましてや今後コンピュータの示した解決策を謙虚に受け入れ、新しい指針とすることができるか、はっきり言って自信がありません。
 しかし、そういう時代が来たのだ、ということは理解しています。
 将棋にとどまらず、人間の生活のあらゆるところに人工知能の出番があるでしょう。そして応用され、世の中を変えていくことでしょう。ガンコな私は、自分の経験や常識が新しい知性に拒絶反応を示さないよう、ただ祈るばかりです。機械になんかに負けてたまるかと変な意地を張ることなく、柔軟に受け入れられるよう、革命を見届けたいと思います。

 今年はずっと天候不順が続いています。
 冬は暖冬小雪、田んぼで使う水が夏に足りなくなるのでは、と心配しました。
 4月は低温。種をまいたもののなかなか発芽せず、イネは死んだのではないかと苗代で苗箱を見つめる日々が続きました。
 5月は高温。イネは急激に生長し、私は軽い熱中症になりました。
 6月は少雨。いつから梅雨入りしたのかわからないくらい、雨が降りません。
 「今年はおかしいね、どうしたんだろうね。」が口癖になりました。ところが、どうしたことでしょう。イネはとっても元気です。天候が不安定なときはイネの生育も芳しくないことが普通なのですが、今年はそんなことはなく、むしろ例年よりも元気です。
 この不思議は、補償作用という現象です。
 屋外にいて動くことの出来ないイネにとって、気温の急激な変化や降雨量の変動は、大きなストレスです。当然、生育の調子も上がりません。
 しかしその不遇のときにエネルギーを貯めていて、何かのきっかけで弱い部分や遅れた部分を取り返してやるぞ、という根性をイネが見せることがたまにあります。これが補償作用。つまり、負けてると頑張る、ってことです。今年のイネは「あきらめない」イネです。
 高校野球の試合で例えれば、毎回失点をする大乱調の投手陣と、毎回それを取り返す不屈の攻撃陣、みたいな感じでしょうか。一回の表にいきなり大量失点をしても、絶対にあきらめない・・。いやあ、誰が教えたわけでもないのに、(そもそも監督は熱中症ですから、教えられないのです・・、)逆転、逆転と重ねていくと自然と強いメンタルが培われるように、うちのイネも幾多の逆境によってかえって力強く成長し、たくましさが育まれたのです。そう、今ちょうど田んぼのイネは、人間の中学生・高校生にあたる生育ステージにいます。
 うちのイネは、将棋も指さないし甲子園も目指していませんが、とにかく元気。10連勝、20連勝の勢いです。若者の元気な姿はいいですね。見るものをすがすがしい気持ちにさせてくれます。


イネの条間に溝を掘り水道を作る

ヤゴが稲に登って羽化する準備

田植え後の夕方の月



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