「昼寝とパエリヤ」

 20年ほど前にスペインにコメの勉強に行ったことがあります。
「ヨーロッパでおコメの勉強?」と意外な感じもしますが、
南欧には日本と同じような田んぼが結構あって、栽培されているコメの種類も中粒種で日本と同じ種類です。
細長い長粒種、インディカ米を主食にしている東南アジアよりもむしろ日本に近いように思うのですがどうでしょうか。
バレンシア地方の農家で離れの一軒家を1週間借りて、近隣の水田やオレンジ畑・オリーブ畑を訪ねたのでした。
夏は40度にもなる気温ですから、スペインの昼休みは2〜3時間で、ゆっくりとした食事と軽い昼寝の時間です。
母屋のおかみさんが「お昼はこっちで一緒にどうぞ」と滞在中は毎日招待してくれて、いろいろなコメ料理をいただきました。
日本で食べるパエリヤは、黄色いサフランライスのうえに、たくさんの魚介がのった豪華なものですが、そこの家でパエリヤといえば「ウサギ肉とインゲン」が普通なのだとか・・。
具も2〜3種類までで、ま、家庭で食べる炊き込みご飯ですね。
それでも、中庭のバーべキューセットで息子さんが鼻歌交じりに作ってくれるニンニクたっぷりのパエリヤは絶品。
日替わりで、鶏肉とニンジン、イカとブロッコリー、うなぎの煮込み風(うな丼だ!!)と味わってみると、
スペインの家庭料理の奥の深さにおどろき、コメ料理の新しい発見をしたような気持ちになりました。

外の作業は雑草との格闘です。戻ってくると泥んこで汗びっしょりです。
ですから夏場は、私たちもスペイン人にならって、長めの昼休みをとることにしています。
シャワーを浴びたあとは、ワインではなくつめたいビールですけれど・・・。
パエリヤも作ってみました。
大き目のフライパンに多目のオリーブオイルとニンニクを入れて火にかけます。
エビやタコの頭やイカげそなど、ありあわせの魚介と夏野菜(ピーマン、ナス、枝豆)をさっと炒めて、いったんとりだします。
次にみじん切りの玉ねぎとよく熟れたトマト2個を炒めて、そこに生のコメを投入し、色が変わるまで炒めます。
そこにアサリ汁(味噌の入っていないもの)を熱々の状態でヒタヒタまで入れて、強火で数分グツグツさせます。
米がスープを吸い込んだら弱火、ふたをして蒸し焼きにします。軽くおこげが出来たら完成です。
オリーブやサフランがないと本場のパエリヤではないかもしれませんが、日本風アレンジもどうしてどうして決して負けていません。
魚や貝を煮付けにしたときの煮汁(しょうゆ味)を炊くときに加えると一層コクが出ます。
食欲の落ちやすい時期ですが、もりもり食べれます。皆さんもお試しあれ。

それにしても不思議なのは、イネは真夏になると生育が止まるのに、雑草はますます盛んになること。
困ったことです。太陽の高い昼間は、雑草との戦いもしばし停戦。
夕方以降に備えて、日陰で昼寝です。




イネの花

パエリヤ

茎の中のイネの赤ちゃん



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