「鳥の目」

 気持ちのよい季節になりました。
 田んぼで作業をしていると、たくさんの動物たちに出会います。
 小さなものは水中動物のミジンコから、大きなものはキツネやタヌキ。トラクターの上にいると、目の前を飛び交うのは鳥たちです。スズメ、カラス、つばめ、とんび、鴨、サギ、・・ほかに名前を知らない鳥もかなりいます。
 トラクターの作業機で土をガチャガチャかき混ぜると、鳥が群れを成して飛んできて、いっせいに土の表面をつつきます。土のなかでぼんやりしていたミミズやらカエルやらドジョウやらを食べるために寄ってくるのだと思います。
 そんなわけで「トラクターと鳥の群れはひとつのセット」となって、田んぼで動いています。港で船が出航すると、白いかもめの群れが急にあらわれて船の周りを取り囲みますが、ちょうどあれに似ています。

 そこで疑問なのですが、鳥って目が見えているのでしょうか?
 鳥の目って、顔の横に付いていますね。獲物を捕る動物、人間やライオンは顔の前に目がある。それに対し、狩られてしまう側、ウサギや鹿やシマウマは、辺りの状況がよく見えるよう顔の横に目が付いている。そんな話を聞いたことがあります。
 田んぼで見ている限り、鳥は食物連鎖では上位にいて、いつも空から攻撃する側です。
卵やヒナを除けば、鳥が襲われるのを私はあまり知りません。(一匹のヘビをめぐって、カラスととんびが上空で壮絶な空中戦をしていたのを見たことはあります。)では鳥の目は、なぜ横についているのでしょう?
 飛行中に仲間や木の枝と接触しないよう、広く空間を認識する必要はあるでしょう。
しかし、小さなミミズまでその目で見つけることは出来るのでしょうか。
 私は視力がそれほど良くないので、作業機によって土といっしょに掘り返された小動物を、見つけることが出来ません。高さ約2メートル、速度ほぼゼロの人間には見えないものが、高さ約10〜20メートルを高速で飛行する鳥には、なぜ見えるのか。
 しかも鳥の目は横についているにもかかわらず、です。いやはや、とても不思議です。
 同じ空を飛ぶものでもコウモリは、超音波を出して別の物体との間合いを計っているとのこと。コウモリは目が良くないそうです。でも、コウモリは鳥ではなく哺乳類でしたね。
犬も、すばらしい嗅覚や聴覚のために、見えない獲物を見つける能力が高いですね。
 上空から餌を見つけて急降下する鳥たちも、犬の嗅覚のような何か人間を大きく超えた特殊な能力があって、獲物を的確に捕らえているのでしょうか。

 「鳥目」とは、夜よく目が見えないこと。「鳥瞰図」は、見晴らしよく俯瞰して遠くまで見える絵のこと。
 一長一短ですが、やっぱり大空を飛んでみたいというのは、地べたを這い回るだけの人間の永遠の夢かもしれません。
 「鳥は自由でいいなあ」と翼を持つ身にあこがれながらも、 「ミミズよ、鳥なんかに負けるな。土のなかを豊かにしてくれ。オレはお前の味方だからな」とトラクターの上から土中の小動物に声援も送っています。




苗が育っております

今年は水不足が心配です

米ぬかの固まって落ちたところだけ、草の勢いがある



HOME

Copyright (C)1997-2014 Akiyama-farm. All rights reserved.

このホームページ上に掲載されているすべての画像・文書などの無断転載を禁じます。