「新米のデカルト」

フランスの哲学者デカルトは、なんでもかんでも疑ってかかったのだそうです。
 これは本当かな、これは事実かな、ひょっとするとウソじゃないか、いや待てよ、本当のことって何だ・・。
 そうやってすべてのものを疑ったデカルトは、疑い続ける自分、自分自身だけは現実に存在すると気付いて「われ思う、ゆえにわれあり」という言葉を残しました。

 再び、食の安全が脅かされる話が続いています。
 例えば、東京築地市場の豊洲へ移転問題。
 ベンゼンが出た、いやヒ素まで出た、とそれが事実なのか、それとも尾ひれの付いたデマ話なのか、どっちなんでしょう。有害物質や毒物がそんなに出たのなら、とんでもない事件ですが、報道内容が事実かどうかを確かめるすべもなく私には判断することが出来ません。新都知事をめぐる政治的な綱引きにも見てとれ、収拾がつかない感じもします。
 9月には外国産米の偽装事件も、また表面化しました。
 新聞によれば、今回も食糧庁は知っていたなどとのこと。数年に一度は必ずこういう偽装事件が発覚し、そのたびごとに農林水産省の関与が指摘されるのに、きちんとした実態解明もなく担当者の処分もなく、いつだってうやむやのまま幕引きがされていきます。農業者としては、きわめて腹立たしいことです。しかし、これも報道が事実かどうかを調べるすべがないし、どうすることも出来ません。
 メディアの話といえば、TPPに話にも大変驚かされました。
 数年前から議論が続くTPP問題。安倍首相がアメリカに催促すると言い出しました。やれ、平成の黒船来航だ、やれ、鎖国じゃダメだ開国だ、いやそれじゃ農業が立ち行かない、国内の産業保護だ、輸出振興だ・・。JAグループはムシロ旗のTPP反対集会をしていたし、私もあちこちから意見を求められたものです。国内を二分する騒ぎだったのにもかかわらず、会議は密室で行われていたためか、その内容ははっきりしません。ただ、またアメリカに不平等条約を押し付けられ、それに必死に抵抗する日本、・・そんな論調だけは一貫していました。
 それがどうしたことでしょう、アメリカではTPP法案が議会を通らず宙ぶらりん。じゃあ日本がアメリカより先に国会を通して、優柔不断なアメリカに決断をこちらから促す、などという話。なんだかいつのまにか話が逆転していて、押し付けられているのか、反対にこちらからお願いしているのか、混乱してきます。
 案の上、いい加減な話題だったなと、あきれてしまう前に、報道そのものを疑ってかかったほうがよいのでしょうか。
 何よりも「食の安全」が軽視されていることにもっと意識を向けなければなりません。広く情報を集める以上に、自分から湧き出る自然な疑問や、直感のようなものを大事にしたほうがひょっとするといいのかもしれません。

 さて、1年かけて作った新米の発送がようやく始まりました。商品の安全性について、もしくはそれ以外でも何かお気づきの点がございましたら、どんなことでもかまいません。皆様からのお問い合わせ、ご意見・ご感想を心よりお待ちしております。



秋の空は、色も雲も美しい

畑で使うワラを干している

暗渠の工事をする準備



HOME

Copyright (C)1997-2014 Akiyama-farm. All rights reserved.

このホームページ上に掲載されているすべての画像・文書などの無断転載を禁じます。