「スキー賛歌」

 小学生の息子がスキーに夢中になり、誘われるので私も週末になると出かけています。
 私が学生の頃はスキーブームで、スキー場はどこも若者であふれかえっていましたが、このところは不景気も手伝って、スキー人気にもややかげりがあるようです。とはいえ、昔とった杵柄で、よろよろしながら滑っていると、空気はきれいだし広々としているしマイナスイオンは多いしで、大して滑らなくても往年の楽しさがよみがえってきました。
 妙高のスキー場までは車で50分弱なので、普段は日帰りなのですが、先週は泊りがけで行ってきました。観光協会主催の福引で、1等のペア宿泊券を当てたのです。 いまスキー場で目立つのは外国人客です。妙高は、北海道のニセコ、長野の白馬に次ぐ、外国人に人気第3位のスキー場とのこと。アメリカ人、オーストラリア人、といった白人のスキーヤーが多くて、話題の中国人はあまり見かけません。
 8人乗りゴンドラは頂上まで10分ほど、完全な密室になります。世界中の言葉が耳が入ってきますので国際色豊かな時間になりますね。ここが新潟とは思えません。
オーストラリア人と会話しようとしたら、私の英語が通じない・・・。情けない思いをしました。ネイティブの英語は難しいですね。でもオレ、英字新聞で毎日勉強してるのになぁ。
 観光協会が用意してくれた宿は、温泉街の民宿。
 10畳か15畳くらいの畳敷きで、大きな窓があってコタツがあって、床の間にはお金を入れて見る小さいテレビがあって、自分たちで布団を敷いて寝る、そんな部屋です。もちろん風呂もトイレも部屋つきではなく、がたピシいうような廊下を渡っていきます。
一定の年齢以上の方であれば、昭和の頃はそういう民宿あったなあ、と想像できるのではないでしょうか。
 和服を着た仲居さんが、かいがいしく世話を焼いてくれる高級温泉旅館ではありません。私立探偵の金田一耕助が、頭をかきむしりながら2週間も滞在したような民宿です。今はどこに行ってもビジネスホテルが便利なので、あまり泊まる機会がありませんね。小学生の修学旅行ですらビジネスホテルのツインに泊まるのだそうですから、歴史のある宿屋で子供たちも大喜びです。
 妙高のスキー場は、外国人客の来場・滞在が年々増えていて、この4年でなんと4倍。
ニセコや白馬に比べるとあか抜けていないぶん、レトロな異国情緒がうけているとか。
英語のスキー雑誌で、木造の旅館街の特集を組むほどだそうです。日本では時代に取り残された感もあるので、捨てる神あれば拾う神あり、といったところでしょうか。記帳した糸綴じの宿帳(芳名帳)をめくると、アルファベット表記の住所・名前もかなりありました。やっぱりみんな泊まってスキーに来ているのです。
 私だって海外に行くと、ビジネスマンの多い便利できれいなホテルだけでなく、民宿だったり、生活感のあるマンションの一室だったりを、探して探して泊まっています。人とのふれあいや、その土地の生活そのものを感じることが好きなのは、同じなんですね。
 民宿の朝ごはんは、納豆、手作りの漬物、焼き海苔、小魚のあぶったもの、大根の煮付け、佃煮、ハムエッグ、わかめの味噌汁です。和食に不慣れな外国人には、きっと相当な衝撃でしょう。残念ながら食堂で欧米人と顔を合わせることはありませんでしたが、慣れない箸使いでしょうし、彼らが楽しみながらも、食事に苦闘する様子をちょっと想像するだけでも笑いが出ます。私と息子二人は、民宿のおばあちゃんと世間話をしながら、手料理を堪能し三倍飯をたべて、おひつを空にしたのでした。「残さず食べた」とおばあちゃんから褒められました。
 帰宅するなり「スキーは泊まりで、またあそこんち、行こうよ」とアンコールの声が上がりました。
 スキー、最高です。滑っている時間よりも休憩時間のほうが長いのが、もっか悩みの種ですが。




スキー場のパノラマビュー

ゴンドラの窓からの景色。広い。高い。


ふきのとうの蕾は、地面から直接出てきます 
 
田んぼの雪がとけるのは、水のあるところ、南向きの斜面から



春がやってきました



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