「環境保護」

  ブラックなジョークをひとつ。

 ある会議に出たときのことです。
 主催者はマイク片手に話します。「今こそ私たちは環境問題について考えなければなりません。そして、できる限り、環境を守らなければなりません。そこで、この新しい装置をぜひ、使っていただきたいと思います。これは簡単ではないのですけれど、国に補助金の申請をすれば、半額補助も受けられますので、いま、全国に広まって、皆さんに取り組んでもらっているところです。お手元の資料をごらんいただけると分かりますが、あちこちの研究機関でも調べてもらいまして、成果が出ていますし、新聞、テレビ、マスコミにも取り上げてもらっています。・・・この取り組みを続けることで、環境を守っていきましょう。ご協力をお願いいたします。」
立派なお話を出席者の多くは熱心に聴いておりましたが、私には、どうしてそのシステムが環境保護につながるのか、よく分かりませんでした。会議が解散になったあと、主催者のところに駆け寄って質問してみました。
 「私は農業をしておりまして、環境問題について少し関心があります。お話を伺ったところでは『環境にやさしい』とのことでしたが、残念ながら私には、生態系の保護や自然環境の保全に有用だとは、まったく思えませんでした。むずかしいシステムでなければ、もう少し突っ込んだお話を聞かせていただけませんか。」
 「いやあ、秋山さん。まったくその通りなんです。お話させてもらったのは、環境は環境でも、自然環境のことではなく生活環境のことです。」
 「んんん? 生活環境?・・・ですか。」
 「そうです。つまり、職場環境といいますか、この場合の環境保護とは、自然や生態系というよりも、生活そのもののことですね・・。ガッハッハ・・。生活環境の保全です。」
そういえば確かに、自然環境にやさしい、とは一度も言わなかった。つまり、あなたの生活を守るということ? 
 「お宅の会社のビジネス環境・・・の保全、ですか、なるほど!」と思わず私も苦笑してしまいました。

 環境には、いろいろな種類がありますね。ことば遊びにも、高度な議論にも使われます。
 環境という「ニシキの御旗」を立てて世論を誘導し、自分の商売を繁盛させるやり方が、探すと結構あるようです。
 「地球温暖化」論もその1つでしょうか。地球温暖化はそもそも、人間の文明が二酸化炭素を増やして、地球の温度を上げている、という説です。これは、新聞はもちろん、子供の教科書にまで書いてあり、「事実」とされています。
 しかし、最近では「実際には温度はたいして上がっていない。長い地球の歴史から見れば10〜100年の異常気象は誤差のうち」「人間の排出する二酸化炭素が原因ではない」とする反論に出会う機会が増えました。
 確かに、ある人の利益誘導のために「地球は温まっている、気をつけろ」と警鐘を鳴らし「二酸化炭素を減らせ」とエコ活動を強要している、と考えることもできます。

 私は専門家でないので、どちらの議論が事実なのかを判断できません。環境問題は、あまりに問題が複雑でむずかしいのです。
 温暖化の問題にしろ、原発の放射能にしろ、PM2.5にしろ、どれが正しいか瞬時に分かるリトマス試験紙を、私は持っていません。
 私にもわかるのは、ただ「ごみのポイ捨て禁止」とか「木を植えよう」とか「ご飯は残さず食べよう」、そんなところでしょうか。これなら私の直感でも判断ができます。私の環境問題は、結局のところ「節電」「節水」からしか始まりようがありません。
 山は青く、空は高い。世界は多様性に満ちています。

 



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