「ロハス」

 「ねえ、ロハスって知ってる?」
 「え、なに? ハス?」
 「ロ・ハ・ス。LOHASでロハス」
 「知らない。なに? 新しいサッカー選手?」
 「最近、はやってる言葉らしいよ。こんな感じ」
 紙片を見せる。LOHAS ⇒ Lifestyles Of Health And Sustainability
 (1)健康と環境を重視し、持続可能な社会のあり方を求める生活様式
 (2)健康で持続可能な、環境を大切にするライフスタイル
 「サステイナ・・っていうのが、持続可能ってこと? これ(1)と(2)はどう違うの。意味がよく分からない、日本語で読んでも意味が、うーん」
 「あ、この(1)と(2)は、どっちかが普通の新聞、もう一個が農業専門誌」
 「むずかしいね。健康で、持続可能で、・・・ライフスタイル。生活様式? で、つまりどういうことなの? その、具体的には?」
 「ま、僕もよくわかんないだけど。サステイナ・・ってのは、15年位前に日本に持ち込まれた言葉で、そのまま直訳したから、『持続可能な』っていうおかしな日本語になっちゃったようだけど、たとえばエネルギーを無駄に消費せずに循環させよう、みたいな感じかな。環境や農業について、よく出てくる単語」
 「で、だから。具体的には、どんな生活様式なのよ!」
 「いや僕はそれが分からないから尋ねたの、ロハスって知ってる? って」
 「ははあ。そうね、そっか」
 「エコとか、エコロジーとか、なんかそういう感じかな、環境でしょ。」
 「ふむふむ。生活様式で、エネルギーを無駄使いせず、健康的に、でしょ。じゃあ、クールビズ! 真夏のエアコン控えめだとか、上着を着ないで半袖シャツでなるべく過ごすとか。クールビズもロハス?」
 「どうなんだろう。僕はわかんないなあ。僕が造った言葉じゃないし」
 「え、どっから来たの?」
 「それはわかんないんだ。アメリカかな、英語だし」
 「むずかしい英語だね、それにしても」
 「なんか、こういう外来語、多いよねえ。和製英語もあるんだろうけど。エコ。エコロジー。クールビズ。で、ロハス? あ、それから、リサイクル!」
 「全部カタカナ! わかりやすい日本語があるといいのにねえ、」
 「結局、こういう考え方とか物の見方とか、概念そのものを輸入して、そのままカタカナで呼んでしまうんだよね。なんでかな。明治維新の頃なんか、外国から持ってきた考え方や価値観を、上手に日本語の直してたのにね」
 「あ、福沢諭吉とか? ・・・あとは?」
 「今はなんでもカタカナ。コンピュータ用語と一緒だよね。アプリケーションだとか、ハードディスクだとか、ダウンロードだとか。覚えるのも大変だし、意味がよく分からん」
 「だから、ロハスって言葉、使ってるんじゃないの、マスコミとか。万人に、よく分かんないってのがいいんだよ、きっと」
  




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