「おむすびまん」

 わが家の3歳の長男は「アンパンマン命」です。
 朝から晩までアンパンマン、アンパンマンで、下着からシャツから、ジャンバーや靴、バッグや帽子。全部アンパンマンです。パズル、ぬいぐるみ、人形、ぬりえ、絵本・・・だけでとどまらず、クッキーからふりかけから、風邪薬のパッケージまで、アンパンマンになっていないと気が済みません。
 将来は何になりたいのと聞くと、「しょくぱんマンとカレーパンマン」になると言っています。はてさて、どうなることやら。
 子供向けのキャラクターとしては、30年も前からあったと思いますが、最近とみに人気が出てきているのではないでしょうか。少なくとも僕は、アンパンマンの本を読んだり、アンパンマンごっこをした覚えがありません。
 今年のお正月に、親しい人からお年玉をいただきました。3歳ですからほんの少しの額ですが、その虎の子のお年玉を全部はたいて、アンパンマンの中古ビデオを買いました。レンタルビデオ屋さんなんかに使われていたものが、リサイクルショップで売りに出されていたんです。おどろいたことに、音楽や映画のビデオの混じって売られていたのに、アンパンマンのビデオは倍の値段がついていたのです。もとの定価にはそれほど差はありませんから、中古でもそれだけ需要が高いということなのでしょう。そして、ろくに字も読めないくせに、種類もへったくれもなく雑多に並べられた膨大なビデオの山から、アンパンマンだけ的確に4本選びだし、「全部買う」と言い出しました。生まれてはじめての「自分のお金」でのお買い物です。一点集中も度胸がよくて、ちょっと僕が感動しました。
 3ヶ月以上たった今も、ほぼ毎日見ています。ビデオデッキの使い方はもちろん、ドラマのセリフまで、覚えてしまいました。おかげで、僕のほうまでいろんなことを覚えてしまいました。アンパンマンには、アンパンマンとばいきんまんのほかに、それはたくさんのキャラクターが出てきます。アンパン、しょくぱん、カレーパン、メロンパン、とパンばかりかと思っていたら、チーズという名の犬もいるし、焼きそばパンマン、ハンバーガーキッド、火の玉こぞうや、ラーメンてんし、歯磨きマン、雪オニなんてのも、います。
 和食のものを探していたら、鉄火のマキちゃん、おむすびマン、天丼マンなんてのもいました。おむすびマンは、えーと、水戸黄門のスケさんカクさんみたいないでたちで、旅の人です。「あっしの名前は、おむすびマンで〜ござんす」とござんす調で自己紹介するあたりは、ひと世代前のフーテンの寅さんの雰囲気と重なります。アンパンマンに比べると古風な感じが否めませんが、正義感に強いところといい、義理人情に厚いところといい、色恋モノによろめくところといい、おむすびマンには古典的な日本人の美意識みたいなものが、よく出ています。
 三角の大きな白い顔で、後頭部は真っ黒(のりが巻いてあります)、鼻は真っ赤なウメボシがあって、「ウメボシはね〜、からだに良いんで、ござんすよ!」ってキップのいい言い方が、とってもユニーク。江戸の生まれなんでしょうか?
 秋山農場の商品のパッケージに、アンパンマンをくっつけたら、飛ぶように売れるんでしょうけれど、僕個人の好みでいえばおむすびマンかなあ。でも、キャラクターの使用料は、目が飛び出るくらい高いんだろうなあ(笑い)。 




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