「軽トラの荷台」

 高村薫の小説には、軽四輪という言葉が出てきます。それとは別に小型貨物なんていいかたもあるようですが、私たちはふつう、軽トラと呼んでいます。軽トラックを略して「軽トラ」。
 国民的人気作家が使わないのですから、軽トラといったのでは通じないのかもしれませんね。みなさん、わかりますか。軽トラといって、どの車かイメージできますか。
 農業をやっている人が一番使う農業機械は、まちがいなく軽トラです。農家ですと一家に一台。これはもう必需品です。燃費がよい、小さくて小回りがきく。ぬかるんだ道では4輪駆動にもなりますし、汚れてもたいして気にならない。値段も安い。いいことずくめ。苗、肥料、小型の農業機械、草刈り機、脚立、スコップ、泥だらけの長靴。季節によって載るものは変わりますが、いつでもフル稼働。なんでも運べます。
 私が毎日乗ってる愛車は、古株の頑固者なので、ときどき機嫌をそこねて止まってしまいます。車体からはサビも出てきてかなりくたびれています。道の真ん中でオーバーヒートをしたときは、水路から水を汲んでラジエターに入れてあげました。きれいな水じゃなくても車はちゃんと動くもんです。またあるときは、突然バックギアが入らなくなりました。さすがにバックが出来なくなると困るので、そのときはクルマヤさんに持ち込んで見てもらいましたが、ちょっと掃除をすれば、また元どおり。もう廃車寸前なんですけれど、でもそうやって故障と修理を繰り返しながら乗っていると、だんだん愛着がわいてくるんです。「軽トラなんて、走らなくてもともと。すこしかまってやると機嫌をなおして走り出す。そのくらいの方が可愛いじゃないか」そう考えるようになりました。
 東京から遊びにきた友人に、「軽トラ、運転してみたいのだけれど・・・」と頼まれたこともありました。車体は軽いしギアはマニュアルだから、加速のしかたやなんか、おもしろいんでしょうね。また都会の道とちがって田んぼ道は、窓を全開にして走ると気持ちいいんです。
 夏になると、ちょっとした移動のときはときどき荷台にも上がります。(道路交通法違反なのかな? 農道ならいいのかな?)荷台の上で立ち上がって・・・これが、気持ちいいんです!! 麦わら帽子、涼しい風、はためくシャツ。おいしい空気。これは最高です。 




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