「ストレスについて」

 ワールドカップが開催されています。
 ほとんどの参加国でサッカーは、「国技」ですから、勝つか負けるかは大変な違いです。選ばれた選手たちが口々に、「誇りを持ってお国のために戦います」というのを聞くたびに、ああこれは一種の戦争なんだな、と感じます。お国のために・・・、なんて戦争に行く兵士のコメントです。私たち日本人が「ニッポン柔道」に思い入れがあるのと同じように、あるいはそれ以上に、サッカーに対する思い入れは、国の威信と名誉をかけた厳しいものなのだと思います。
 選手にかかる期待の大きさや重圧は、私たちの想像を超えるほど大きなものでしょうけれども、それにつぶれてしまうようでは、大舞台で結果を出すことはできません。活躍するためには、プレッシャーの中でも、それをバネに変える能力が必要なのでしょう。
 田んぼではイネがちょうど少年期を迎えています。
 不思議なことがあります。イネは水を与えるのを控えると、根を伸ばし、肥料を与えるのを控えると、茎を太くする、という性質を持っています。なぜだか理由は良くわかりません。でも必ずそうなります。もしかすると他の植物でも同じかもしれません。「水ストレス」、「肥料ストレス」と呼ばれていますが、水が足りないと根を伸ばし、栄養が足りないと体を丈夫にする、というのは、逆境でもそれをバネにたくましく生きる不思議な力を物語っています。長い年月で遺伝子に組み込まれた本能なのでしょう。生きていくためには、また自分を生かすためには、苦しい環境の中でこそ本領を発揮する、底力ですね。これを「実力」というのでしょうか。
 なんだか、人生の教訓を学ぶようで、イネに教えられる気がしますね。
 ですから、栽培するときはそのイネの強さを逆手にとって、イネをわざと厳しい環境におとしいれるやり方をしています。もう、虐待に近いですね。たとえば、田起こしをするときはなるべく浅くします。作土層といわれる膨軟な部分が、少ししかないので、イネは根を伸ばそうとしても、すぐに固い盤にあたってしまいます。イネはその硬い盤を突き抜けるほどの強い根を出すか、浅く広く横にたくさん根を張るか、いずれにしても厳しく育っていくことになります。病気や虫にも負けない強い体は、きたえることからしか生まれません。過保護に育てたのではハングリー精神は育たないのです。
人間の人生も同じでしょうか。

 

 



このサイトについてのご意見、
ご感想など


E-Mail akiyama@rose.ocn.ne.jp
までお願いします。 

TEL (0255)78-4157
FAX (0255)78-4654

homeヘ


All images and words on this web page may not be reproduced without permission.
Copyright (C) 2000 Naoki Akiyama.
All Rights Reserved
.
このホームページ上に掲載されているすべての画像・文書などの無断転載・無断使用を禁じます。