2001年12月

「虹を見た日は」

 夕方、雨が上がって、大きな虹が出ました。
 それはそれは見事な、大きな虹でした。
 二重にかかった虹は、橋というよりはお椀を伏せたかのよう
 くっきりと半円を描いていました。
 地面から地面まで、完全に180度。
 これは珍しいね。
 普通は、建物があったり、虹のほうが途切れてしまったり、
 ぐるり180度見えることなんて、ほっとんど、ない。
 田んぼの端から地上に突き出た七色の光の柱は
 上空で大きく弧を描いて、反対側の田んぼに舞い降りる。
 一生に一度見えるかどうかの、大きな大きな虹でした。

  虹を見た日は子供のころに戻ったようだ。
  おお。はっきりと色が数えられるね
  赤、オレンジ、黄色、緑、青、むらさき。
  ムム?? 指折り数えて
  あか、オレンジ、きいろ。みどり、あお、むらさき、・・・
  やっぱり6色。・・・あれ??
 
    虹を見た日は子供のころに戻れるようだ。
    「あの土手の上に、あがって見てみよう」
    一目散に高いところに駆け上がる。
    ぬれた草など、お構いなく。汚れる靴など、お構いなく。
    口をポカンとあけて、ただひたすら光のショーに見入るのだ。
    大事なことも、大事じゃないことも
    圧倒されるような平和の下では、どうでもいいこと。
 
 3分か、せいぜい5分。
 白日夢の虹は、色が薄くなり、ところどころ途切れ始めると、
 風に流され、空に溶けてしまいました。
 雨のやつが戻ってきて、少し笑ったので
 それで僕も、現実の世界のほうへ帰ることにしました。
 いい一日でした。

 

 


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