2001年10月

「秋は感謝のこころです」

　秋も深まってまいりました。
　生産者にとって、収穫というのは一年の集大成のようなクライマックスのような、独特の感慨があります。無事に収穫を迎えることができ、ほっとした安心感があります。できあがったものに対する純粋な喜びもあります。刈り取られガランとしてゆく田んぼの風景に、一抹の寂しさも感じます。
　一年が終わった感じがするのです。
　日付のついたカレンダーには、なんの区切りも、しるしもありませんが、コメ作りの暦の上では、はっきりとした一年の終わりです。いろいろな思いのつまった一年が終わり、また新しい一年が始まるのです。
　感謝のこころで、暮れのごあいさつと新年のごあいさつを申し上げたいと思います。
　
　日頃ご愛顧いただいているお客様。一年間ご愛食、ありがとうございました。新米ともども、末永くごひいきにしていただきますよう、あらためてお願い申し上げます。
　今年そだったイネにも。一年間元気に育ってくれて、ありがとうございました。
暑い日も寒い日もありましたが、皆さんの健やかな成長は私達の励みでした。春のまだ寒い日にまいた小さな種もみが、秋にはあんなに大きな穂をむすぶのは、毎年のこととはいえ本当に驚きです。
　おてんとさま。今年もありがとう。太陽の強い光がなければ、イネは育ちません。最近は少し暑すぎる日もありますが、それでも、日照りも台風も、長雨も日照不足もなく過ごせました。おてんと様にそっぽを向かれたら、私達は生きていけません。
　土の中で働く見えない微生物の皆様。今年も地味ながら一生懸命に活躍してくれて本当にありがとう。皆さんの力が、土の健康とおいしいお米の味を約束してくれています。私自身微力ではございますが、今後もできる限りのことはさせていただきます。ますますのご発展とご繁栄をこころよりお祈り申し上げる次第です。
　ヘビやカエルや虫や、小動物の皆さん。いろいろと仲良くしてくれてありがとう。利害が一致しないことも、ときにはありますが、お互い仲良くしていきたいといつも思っています。
　さらに、地権者、農業関係者、支援してくださる皆様。おかげさまで、なんとかがんばっております。来年も格別のご高配を賜りますよう切にお願い申し上げます。
　秋は感謝のこころです。