2000年8月


「夏の夜の夢」

 暑さのために眠りが浅いせいでしょうか、真夏は夢をよく見ます。起きたあと、大抵は夢の内容をほとんど覚えていないのですが、時には頭に残って離れないものもあります。心理学の世界には、深層心理を夢で判断する方法もあるそうですから、記憶をたどって日記風に夢を書き記しておいたら、案外おもしろいかもしれません。
 でも私の場合は、ハッピーな夢や、ゆかいで楽しい夢には、残念ながらあまり縁がありません。いつも何かに困っていたり、そうでなければバタバタと動き回っていたりで、どちらかというとあまり歓迎されない夢です。夢のなかでくらい「いい夢」を見たいものですが、うまくはいきませんね。夢の中でも現実も一緒です(笑い)。
 もし希望がかなうなら、田んぼの夢も見たくはありません。どうせヘビの大群に追いかけられるのだとか(それでまた、これが数が多くてめちゃくちゃ速いんだ!)でなければ、朝おきたら田んぼ一面に雑草が生い茂っているだとか……さしずめそんな恐怖の体験に違いありません。

 雑草が伸びます。炎天下、手取り除草をしています。
 当方では「人間アイガモ」というかなり強力な作戦を展開しておりますが、敵もさるもの、なかなかどうして撤退してはくれません。こちらが退けば、敵は攻勢に出て私の田んぼを占拠してしまうので、安易な妥協は許されません。厳しい戦いです。農民と雑草との戦いは、太古の昔から続いていますが、このあわただしい世の中にあっても、雑草の力強さは相変わらずです。21世紀が来ても、世界中がコンピューターでつながっても、とにかく私たちは雑草との戦いに明け暮れるのです。雑草は決して野心を捨てません。今年も来年も、「農民対雑草」の伝統の一戦は、色褪せることなく続いていくことでしょう。
 ところで「強さ」のたとえで、雑草は踏まれても踏まれても立ち上がる、という言い回しがありますが、実のところあれは正確な表現ではありません。毎日、相対している私に言わせれば、雑草の強さは「くじけない、へこまない、不屈さ」にあるわけでなく、真の強さは「時間差」と「スピード」にあります。時間をずらして生えてくる「時間差」の攻撃と、成長の早さ「スピード」が、雑草の特徴です。(いっぽう、栽培作物はいっせいに発芽します。そしてイライラするほど大きくなりません。)
 ああ、本当に雑草の夢だけはやめてくれ!!
 雑草は、私が夢にうなされているのを知ってて伸びてくるのでしょうか。


 




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